ストレッチ:指の痛み・腱鞘炎・ばね指

痛み無くできる範囲でグーパー繰り返すのが一番よさそう。キモは虫様筋・骨間筋・手掌腱膜にあり

ひっじょーに気づきにくいが、手のひら部分、骨の間がめちゃめちゃ固まってることが多い。指を直接動かすのに働く腱はすべて手のひら部分で上記3種の筋・腱膜などとつながっているため、日常動作を優先するためにかばう様に負担が掛かる。つまりこの部分で庇えなくなると日常動作にも支障がでてくる。

そこで基本、グーパーをしてゆび先まで血流を促す(筋肉を動かしてポンプさせる)ことで、固まった筋肉も時間を掛ければ弛緩してくる。また、手を大きく開いて指を一本ずつ曲げる、というのも良い。

また、ストレッチは反動をつけるような方法はを避けてください。じっくり伸ばすように。

筋肉以外の腱や筋膜はスポンジ状構造が押しつぶされたようになって癒着状になるので、これはストレッチだけでは厳しく施灸や専門的な筋膜リリースが必要になる。ぐいぐい押しても、もんでもあまり効果は出ない。

臨床上の経験では、むしろ肩までの腕全体や、患部と反対側の下肢のストレッチ、背骨のストレッチを追加する方が効果は高いと診ている。

指の痛み・腱鞘炎・ばね指

 原因不明または使いすぎとされることが多い。神経痛扱いされて、湿布や痛み止めで誤魔化されることが非常に多いですね。
 指の症状は「痛いところ・炎症のあるところ」と「原因のあるところ」が離れていることがものすごく多いのが特徴です。


 「筋膜」という組織に注目してみれば全身が途切れることなく繋がっている構造で、どんなに小さな動きでも「複数の筋肉や関節」が関係して「綱引き」をしています。で、この「綱」が「凝る」「ひきつる」「裂ける」「浮腫む(老廃物が溜まる)」「炎症する」、そして「余計に凝る」「余計に~以下略。
 この凝りやひきつり等が、「見掛け上は一本の筋肉・腱・靱帯」の数カ所で連鎖的に起きた「結果」が症状として「別の場所に現れた」のが表題の症状になっていきます。実際にソコにも凝りやひきつりや炎症も起きますが「結果」なので、結果だけを処理(治療)しても「次の結果が生産される」わけです。
 具体的には指や手首付近の痛みや腱鞘炎で、最低でも肘周辺まで、時には肩周辺までの調整が必要になってきます。

腰痛 4

今回は「援鍼堂ではどう診るか」です。

a.炎症の有無
b.脊柱起立筋の状態
c.腸腰筋の状態
d.仙腸関節の状態
e.骨盤の歪みを確認
f.その他
g.痛い部位の確認

 ざっくりと項目に分けると以上になります。gを最後にしているのは先入観を捨てるためと思って下さい。他は順不同な感じです。
 例えば、ヘルニアを起こしている部位で急性腰痛を再発、炎症を伴ったケース。右側腰椎際の炎症部位=発痛部位で脊柱起立筋は過緊張ながら見かけ上は陥凹、反対側は膨隆しているとします。すると初期治療としては炎症部位をアイシング、反対側の緊張緩和、炎症部位への施灸を考えます。炎症を起こしている部位は基本としてアイシングにより「延焼を止める」のが基本です。周囲の細胞まで破壊する炎症という状態は発熱を伴い、熱が強くなると破壊力も強くなります。血管も壊されて出血すると雑菌感染まで併発することもあります(血液って意外とばっちぃものです)。なのでまず、この炎症を冷やして押さえ込みます。
で、その次に背骨の反対側(左)が右をかばって上半身を支えている状態ですから、回復するまで頑張ってもらわなくてはいけません。なので一度力を抜いてもらいます。そのあと、改めて炎症を起こした部位に血流量増大と白血球の集中を目的に施灸をします。
 理屈は簡単。数回読み直してもらえればイメージできると思います。一方で技術は複雑怪奇です。アイシングはスポーツでよく行うケアと同じですが、そのあとの緊張緩和のところからは専門性が跳ね上がります。順番は前後しますが、痛みや炎症の度合い次第で骨盤の歪みを先に整復します。炎症がはっきり確認できる場合はたいてい無理なので次です。下腹部とその外側、腸骨の内縁の触診にて腸腰筋の状態を伺います。これと脊柱起立筋の状態とあわせてどの程度の緊張緩和をするのかを決定します。場合によっては、やや過剰に緩和させて代わりにテーピングで補強します。急性腰痛、いわゆるぎっくり腰は絶対安静が基本ですが、そうも言ってられないと言う場合もあるので、テーピングのうえにコルセット推奨の場合もあります。が、絶対安静が原則です。
さらに専門的かつ鍼灸的には少腹部・下腹部・仙腸関節周囲の痰状硬結(グミのような感じでごろごろしたもの 大きさはまちまち)の除去や虚実のバランス調整。炎症部位に関連する火穴の圧痛除去などなど。処置は色々あって一つこなせばその分何かしら楽になっていきます。

おまけ
 しかしながらギックリ腰とかになって鍼灸治療を選択する人の多くは少し楽になればすぐに出勤されます。そして動けなくなって電話が掛かってきます。最初の楽になったのは「血流が改善されて溜まっていた発痛物質が押し流された」状態です。痛みを緩和させただけで治っていません。
 だから「絶対安静が鉄板」です。「ぎっくりは絶対安静が基本で原則で鉄板」です。
 

腰痛 3

前回紹介した以下の分類ですが
Ⅰ.脊柱・体幹の異常(筋・靱帯の異常/脊椎の疾患)
Ⅱ.神経系の異常
Ⅲ.症候性の腰痛症(産婦人科疾患から/泌尿器科疾患から/消化器疾患から)
Ⅳ.精神科的疾患

さらにざっくり分かりやすく言い換えますと

Ⅰーa.骨・軟骨の異常(磨耗・変形・骨折・炎症 等)
Ⅰーb.筋肉の異常(過緊張・弛緩・断裂・炎症 等)
Ⅱ.神経の異常(断裂・炎症・圧迫 等)
Ⅲ.内臓疾患の反射痛
Ⅳ.精神的ストレスによる反射痛

 Ⅳが少し分かり難いでしょうが、「トラブルに困り果てて頭が痛い」のと同じ状態です。直接関係なさそうでも、条件反射的に腰部の筋肉などに過度の緊張が起きて痛みを引き起こします。神経が過剰に興奮したから筋肉も余計に緊張したともいえます。

「神経が過剰に興奮した」結果の痛みといえばⅢも同じです。内臓から脊椎や脳への神経伝達が反射的に腰に影響しているわけです。

 とすると、Ⅱは何なのか?神経そのものが直接炎症を起こしたり圧迫されるものです。Ⅰは神経が害される原因が神経とは別にあるもの、ということです。たとえば骨が変形してとがった為に神経を強く刺激する、などです。

 こうしてみると、腰に限らず「痛み」は、とにかく神経がどのように刺激を受けるのかに注目して分別が可能で、実際に区別をつけることができます。たとえばレントゲン等の透視画像診断でⅠーa、いわゆる局所ブロック注射が効果的であればⅠ、ステロイド注射が効果的であればⅠ~Ⅱの範囲での炎症が考えられると言った具合です。こういったものが効かがなければⅢ~Ⅳの可能性が濃厚であるといえます。

 次回は援鍼堂でどの様に診ているか、を書いてみます。

腰痛 2

大ざっぱに急性腰痛と慢性腰痛に分けて紹介します。

急性腰痛
 a.腰椎捻挫
 b.腰椎椎間板ヘルニア
 c.腰椎圧迫骨折
慢性腰痛
 a.椎間板変性症
 b.変形性脊椎症
 c.骨粗鬆症
 d.腰部脊柱管狭窄症
 e.腰椎分離症・すべり症

 おおよそ、上記のものがよく遭遇する腰痛です。もちろんこれ以外にも腫瘍やカリエス(結核性のもの)など様々です。
 次に、原因で分類すると下記の様になります。

Ⅰ.脊柱・体幹の異常(筋・靱帯の異常/脊椎の疾患)
Ⅱ.神経系の異常
Ⅲ.症候性の腰痛症(産婦人科疾患から/泌尿器科疾患から/消化器疾患から)
Ⅳ.精神科的疾患

 治療をする側としては、こういった分類で腰痛を考えていきます。個別の病名・疾患の詳細については割愛します。お知りになりたい場合は、ネット検索をお勧めします。2~3ヶ所の専門病院の解説を調べれば詳しく、あるいは分かりやすい説明が見つかります。鍼灸院的にはもうちょっと違うところを説明したいので。次回はそのあたりを書きます。

腰痛 1

「腰痛は人類の宿命ともいわれている。すなわち、2本足で歩行することによって重い大脳を支え、両手を自由にすることで文明を発達できた人類は、その代償を腰痛で払うことになった。4つ足では体重が脊柱全体に分散されるのに対して、2本足では下位腰椎部を中心に重心がかかるため、腰痛を起こしやすい。」
 (「疾患別治療大百科 シリーズ1 腰痛」より抜粋 )

 たいへん分かりやすい要点です。あらゆる腰痛の原因が表現されているともいえます。とはいえ勉強した人が納得できても、普通はチンプンカンプンでしょう。「膝痛」の投稿を読んだ方なら「膝だって相当に弱そう」と思うかもしれません。

 比較するなら、足は二本で体重を支えますが、腰は体幹一本で支えています。腰は腰より上を支えつつ、腰より下の運動による衝撃を受け止めています。膝は時々で片方が全体重を支えますが、左右交互に作用する一方で腰は常に一つです。また解剖学などを勉強した人ならわかると思いますが、実のところ腰は立っても座っても寝ていても、それなりに負担がかかりやすい構造になっています。

 ひとまず大事なポイントは膝と同様、腰痛も「筋肉疲労程度だからと放置しすぎると、かなりやっかいな故障に進行する」という一点です。

 次回はよくある腰痛の病名を紹介してみます。

異説奇経治療

 私が行っている奇経治療の紹介です。内容は臨床家向きです。一般の方には謎言語になると思いますのでご注意ください。

 従来の八脉と宮脇和登氏の提唱する新四脉を含む十二脉を扱う点においては同じつもりです。大きな相違点は、簡易診断に宮脇氏提唱の腹診とは違って「臍の周囲と腹直筋外縁」に反応を求める点です。この方法による特徴は

1.「左右どちらに配穴するか」が反応と一致することが多く、迷いにくい。

2.奇経治療は主穴と従穴の組み合わせが原則であるが、この反応点を主眼に配穴する場合、主穴のみで著効が得られる場合が判別できる。単純に主穴に鍼を置くだけで反応点の硬結が綺麗に消えるからです。

3.脉診や、通常の腹診で判断に自信がもてない場合にまずこの方法で奇経治療を行うと、脈も腹もがらっと表情を変えて分かりやすくなることが少なくない。小児針ではこれだけで治療が可能です。というか幼児に限らず主訴がわからない(愁訴が多すぎる)相手だと非常に助かる。

さて、肝腎の反応点ですが、

A.臍の周囲八方向(上下、左右、斜め)におよそ指頭(腹)一つ分の幅が反応点です。2つ分が並んでいます。つまり2指頭分が反応範囲です。臍の際から取ります。おそらく骨度法です。じっくりとは検証してません。

B.硬結反応の取り方は、押圧は圧力0とわずかに押さえ込むこと、さらにポイントの表皮の虚実で4パターンあります。ややこしそうだがそれ程難しくはありません。判別の基準は「圧0で実」とします。臍の際が主穴、その次が従穴です。なお、臍が開いている人と、閉じている人などいるが、あくまで「際から」であす。隙間をあけて反応を取ると、まったく奇経とは別物になる様です。つまり二指の腹をそろえて反応を伺うのが大事です。

C.臍の上が任脉、下が督脉、左右が陰維脉、上の斜め方向が陽維脉、下の斜め方向が手の少陰脉です。少し押さえ込んだところに反応が出ていれば上が陽蹻脉、以下順に陰蹻脉、衝脉、帯脉、足の厥陰脉です。手足の陽明脉は腹直筋外縁で判断します。臍の高さを境に「表皮が実で」上が張っていれば手陽明脉で、下が張っていれば足陽明脉です。まず2パターンを記述しましたが残りの2パターンは簡単です。表皮が虚を呈していれば主穴従穴の反応点が逆としてください。手足の陽明脈は軽按が基本で重按で逆になり、虚実でも逆にります。


 次に配穴で左右どちらを取るかの判別ですが、臍の左右どちらに反応が出ているかがそのまま示しています。正中線上だけは反応点を左右に動かし(皮膚をひっかける様にすべらせる)、どちらに強く硬結を捉えられるか(感じるか)で判別します。

まず、主穴を決めてツボを探り、ポイントを決めたら鍉鍼の金または銅を当てます。すると臍周囲の主穴反応点が緩みます(消えるとは限らない)。従穴の反応点が左右どちらかに残るはずなので同様に左右を判定します。従穴に銀・亜鉛・アルミの鍉鍼を当てて数秒。反応が一時的もしくは当分の間、緩むか消えれば決定です。配穴が決まればあとは宮脇式同様に施灸や粒置などを行います。当院ではイオンパンピングを行います。

ちょっとした例外で面白いのが、先の判定法で右主穴→左主穴という判定がでることがあります。これはこの手法の欠点というわけではなさそうです。どうやら陰陽交差(透し鍼や打ち抜き灸など)ではないかと思う。あるいは左右への分散かも?面白いことに、そのままの配穴を採用してなにかしらの症状が軽減していることが多いです。また、主穴だけで従穴の反応まで消えることもあります。最初から従穴の反応が無いこともある。この場合は主穴だけの配穴でも十分のようです。

おおよそ分かっている事の要点は以上であす。あまり症状と照らし合わせが必要でないので簡便に応用していただきたい。異論は認める。まだまだ治験が不十分と考えるからです。あとイオンパンピングですが、経別治療とではプラスマイナスでのつなぎ方が逆であることが多いです。これもいろいろ考えさせられて面白いですね。

機会があればこの異説奇経治療に至った、独断と偏見もあわせて別に書こうと思います。なお、この異説奇経治療は完全オリジナルです。が、ひょっとしたら誰かの役に立つかと思って公開します。他にもこの治療のオプションはありますが、それは追々ということで。

膝痛 4

膝痛 3から続きです
 ・加重によるもの
 ・使いすぎによるもの
 ・外傷によるもの
 以上3つのケースでそれぞれに

・関節の骨・軟骨
・関節胞
・腱、靱帯、半月板
・筋肉の状態
・動作パターン
・筋力の出力調整
・関節の遊び (他関節との関わり)
 以上(おおまかに)7つの故障を想定して説明しています。3から続きの最後の項目からです。

関節の遊び:自分ではなかなか認識しづらいですが、他人に足を持ち上げてもらってさらに揺らしてもらうと、いろんな方向にすこしだけグラグラと動きます。これが遊びです。また膝の皿も正常であればグニグニ動きます。関節に痛みのある人は、この遊びが全く無いか、激痛を訴えて遊びを確認できません。この遊びは、関節面が「多少ズレても滑る事が可能な余裕」の様なものです。この遊びは関節周囲の筋肉の緊張状態に大きく影響を受けます。遊びが少なければ痛みが発生しやすく、痛みが出れば緊張が強くなり、と悪循環の定番のわりに、症状の説明で抜け落ちやすいところです。

他関節との関わり:これも「遊び」の範疇で説明します。股関節や足関節(足首)に問題があっても膝に影響してきます。どちらも多方向に大きく動く自由度が大きな関節ですが、膝はほぼ屈伸のみのために、股関節や足関節の故障をかばう余地がほとんどないからです。いつもよりほんの少しの捻った動き、捻ってしまう筋緊張が膝の遊びを奪ってしまいます(膝に捻りを加えて屈曲させてしまう)。また、痛みなどもあれば捻らなくとも筋肉の緊張がストレートに膝関節への加圧になります。

とりあえずざっくり、前述部位の硬化や炎症、周囲筋肉の筋力バランスや動作感覚の消失(筋肉の動作パターンと出力調整の誤作動)がおこり、これに伴って腫れ、圧迫、血流の悪化が起こります。次いで各組織の強靱さが失われ、炎症の周辺拡大がおこります。一時的に症状が収まっても弱体化状態が改善されない限り、日常生活での負荷をうまく回避できないといずれ必ず再発します。このサイクルが繰り返されると症状自体は軽くても、やがて半月板や靱帯の損傷、関節の変形、骨折、慢性的な神経炎などに繋がります。
 なお、治療が必要か否かは下肢をぶらぶら揺らして前述した「遊び」があるかどうかが目安になります。症状が軽くても、関節に遊びが無いとなれば重症予備軍と考えて良いでしょう。ただし、自分で確認できるかというと難しいので専門家に相談するべきです。

膝痛 3

膝痛 2から続きです
 ・加重によるもの
 ・使いすぎによるもの
 ・外傷によるもの
 以上3つのケースでそれぞれに

・関節の骨・軟骨
・関節胞
・腱、靱帯、半月板
・筋肉の状態
・動作パターン
・筋力の出力調整
・関節の遊び (他関節との関わり)
 以上(おおまかに)7つの故障を想定して説明しています。2から続きの3パターンに関しての問題です。

筋肉の状態:関節そのものはいわば蝶番で、動かす動力である筋肉が周辺にたくさんあります。外側の筋肉が疲労で固まったり力を失うと、他の筋肉がかばって働きます。厳密にはそれぞれの筋肉は独自の働きがあり、そのため「かばう」動作が蝶番が本来想定しない角度の屈伸をさせることになります。

動作のパターン:次の出力調整とも関係しますが、同じ屈伸でもまっすぐか、内股か外股かでも、階段の昇りか降りかでも力の入れ方というか力の入れる順番も少しずつ違いがあります。痛みやヒキツリが長く続くとこの「順番」が狂ってきます。脳が間違った学習をすると思って頂いてもかまいません。そうなると先の「筋肉の状態」で述べた「かばう動作」を覚えてしまい、元々の痛みの原因が治っていても無理な動作を続けて、これが原因で膝痛が治らない結果になります。

筋力の出力調整:色々と名前の付いている筋肉一つをとっても、細かくは一本々々の繊維筋細胞ごとに力を出していて、関節の曲げ具合によって使う筋肉や、力の加減をしています。関節を動かすというのは単純な曲げ伸ばしだけはなく、曲げている角度の維持が大変重要になります。言い方を変えると抗重力、つまり体を支えるために重力に逆らう方向に力を入れるということです。やさしく言いますと、いろんな形で体を曲げてしゃがんだり、中腰になっても倒れないように踏ん張る力、ということです。こういった動きを実現する為に、本来自然と細かく力を加減しているのですが、痛みの為につい力んだりしているうちに、この出力調整に狂いが生じてきます。先の「運動パターン」と同じで脳が間違った記憶をしてしまうのです。

残りの1項目は続きの「膝痛 4」で

膝痛 2

膝の故障についてさらに詳しく云いますと…
 ・加重によるもの
 ・使いすぎによるもの
 ・外傷によるもの
 以上3つのケースでそれぞれに

・関節の骨・軟骨
・関節胞
・腱、靱帯、半月板
・筋肉の状態
・動作パターン
・筋力の出力調整
・関節の遊び(他関節との関わり) 
 以上(おおまかに)7つの故障を想定すると理解しやすいかとおもいます。

加齢によるもの、は含んでいませんが、そのケースは多くが「運動意欲の低下」がのお話になってくると考えますので、「治したい」「あきらめたくない」のであれば「加齢によるものだからしょうがない」は無視していいでしょう。各ケースについては、原因や切っ掛けそのものなので解説は割愛します。代わりに7つの故障について専門的になりすぎない程度に詳しく解説します。

軟骨:関節のところ、骨と骨の接触面にあたる部分のツルッとして骨本体より柔らかいイメージのところです。加齢や加重の影響で再生力が弱くなったり、負担が大きすぎると骨化といって硬くなり滑らなくなります。その結果は変形や摩擦が起きて炎症の原因となります。加齢でとは書きましたが、昔とは違って健康補助食品やサプリメントなどが充実してきて、価格も下がってきています。万人に効果が望めるものではないですが、確かに効果のあった方もおられます。軟骨が減少していても変形が始まる前ならワンチャンス期待できるかもしれません。

関節胞:いわゆる水が溜まるところ。関節がなめらかに滑るのに大事な潤滑油的な成分が貯留しています。ほかに滑液胞というものもありますが、そちらは次で解説している軟部組織同士のためのクッションです。
炎症をおこすと水分が増え、潤滑液としては薄くなり滑りが悪くなり軟骨の接触面が擦れることになる。また水が増えすぎると、膨らみすぎた風船状になり、表面に多い神経が引き延ばされて酷い痛みになります。
 炎症を治せば関節に水が溜まらなくすることはできます。逆に、たとえば外傷性(転倒による強打や捻挫など)に胞内に出血していると炎症が非常に治り難く、水を(血を)抜くのが治療の最短距離になります。血はけっこう”ばっちぃ”ので抜かないと極端に治りが悪いです。むしろ炎症が悪化します。かつ、胞内のこういった出血に対して体の自浄力は弱い様で、鍼灸治療で対処となると時間が掛かります。

靱帯、腱、半月板:骨同士を繋げる靱帯や筋肉の一部である腱、上下の骨に挟まれてクッションの役割をしている半月板というものがあります。骨のように硬い組織ではないので少々の負担ならばともかくビリッと裂けてしまうことがあります。骨ならばほぼ元通りを期待できますが、こういう組織は単なる自然治癒(放置)にまかせると脆弱化しやすいのが特徴です。よくスポーツ選手が関節の手術をするのは裂けたところを「綺麗にキッチリ歪み無く」繋ぐためです。歩行程度ならば問題なくとも体重の何倍もの負担が発生する運動をするには大きな損傷を自然治癒に任せるのはリスクが大きすぎるからですね。

続きは「膝痛 3」で