腰痛 3

前回紹介した以下の分類ですが
Ⅰ.脊柱・体幹の異常(筋・靱帯の異常/脊椎の疾患)
Ⅱ.神経系の異常
Ⅲ.症候性の腰痛症(産婦人科疾患から/泌尿器科疾患から/消化器疾患から)
Ⅳ.精神科的疾患

さらにざっくり分かりやすく言い換えますと

Ⅰーa.骨・軟骨の異常(磨耗・変形・骨折・炎症 等)
Ⅰーb.筋肉の異常(過緊張・弛緩・断裂・炎症 等)
Ⅱ.神経の異常(断裂・炎症・圧迫 等)
Ⅲ.内臓疾患の反射痛
Ⅳ.精神的ストレスによる反射痛

 Ⅳが少し分かり難いでしょうが、「トラブルに困り果てて頭が痛い」のと同じ状態です。直接関係なさそうでも、条件反射的に腰部の筋肉などに過度の緊張が起きて痛みを引き起こします。神経が過剰に興奮したから筋肉も余計に緊張したともいえます。

「神経が過剰に興奮した」結果の痛みといえばⅢも同じです。内臓から脊椎や脳への神経伝達が反射的に腰に影響しているわけです。

 とすると、Ⅱは何なのか?神経そのものが直接炎症を起こしたり圧迫されるものです。Ⅰは神経が害される原因が神経とは別にあるもの、ということです。たとえば骨が変形してとがった為に神経を強く刺激する、などです。

 こうしてみると、腰に限らず「痛み」は、とにかく神経がどのように刺激を受けるのかに注目して分別が可能で、実際に区別をつけることができます。たとえばレントゲン等の透視画像診断でⅠーa、いわゆる局所ブロック注射が効果的であればⅠ、ステロイド注射が効果的であればⅠ~Ⅱの範囲での炎症が考えられると言った具合です。こういったものが効かがなければⅢ~Ⅳの可能性が濃厚であるといえます。

 次回は援鍼堂でどの様に診ているか、を書いてみます。

腰痛 2

大ざっぱに急性腰痛と慢性腰痛に分けて紹介します。

急性腰痛
 a.腰椎捻挫
 b.腰椎椎間板ヘルニア
 c.腰椎圧迫骨折
慢性腰痛
 a.椎間板変性症
 b.変形性脊椎症
 c.骨粗鬆症
 d.腰部脊柱管狭窄症
 e.腰椎分離症・すべり症

 おおよそ、上記のものがよく遭遇する腰痛です。もちろんこれ以外にも腫瘍やカリエス(結核性のもの)など様々です。
 次に、原因で分類すると下記の様になります。

Ⅰ.脊柱・体幹の異常(筋・靱帯の異常/脊椎の疾患)
Ⅱ.神経系の異常
Ⅲ.症候性の腰痛症(産婦人科疾患から/泌尿器科疾患から/消化器疾患から)
Ⅳ.精神科的疾患

 治療をする側としては、こういった分類で腰痛を考えていきます。個別の病名・疾患の詳細については割愛します。お知りになりたい場合は、ネット検索をお勧めします。2~3ヶ所の専門病院の解説を調べれば詳しく、あるいは分かりやすい説明が見つかります。鍼灸院的にはもうちょっと違うところを説明したいので。次回はそのあたりを書きます。

腰痛 1

「腰痛は人類の宿命ともいわれている。すなわち、2本足で歩行することによって重い大脳を支え、両手を自由にすることで文明を発達できた人類は、その代償を腰痛で払うことになった。4つ足では体重が脊柱全体に分散されるのに対して、2本足では下位腰椎部を中心に重心がかかるため、腰痛を起こしやすい。」
 (「疾患別治療大百科 シリーズ1 腰痛」より抜粋 )

 たいへん分かりやすい要点です。あらゆる腰痛の原因が表現されているともいえます。とはいえ勉強した人が納得できても、普通はチンプンカンプンでしょう。「膝痛」の投稿を読んだ方なら「膝だって相当に弱そう」と思うかもしれません。

 比較するなら、足は二本で体重を支えますが、腰は体幹一本で支えています。腰は腰より上を支えつつ、腰より下の運動による衝撃を受け止めています。膝は時々で片方が全体重を支えますが、左右交互に作用する一方で腰は常に一つです。また解剖学などを勉強した人ならわかると思いますが、実のところ腰は立っても座っても寝ていても、それなりに負担がかかりやすい構造になっています。

 ひとまず大事なポイントは膝と同様、腰痛も「筋肉疲労程度だからと放置しすぎると、かなりやっかいな故障に進行する」という一点です。

 次回はよくある腰痛の病名を紹介してみます。